設立1年目OK!法人ETCカード年会費無料の作り方

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「法人カードの審査に、また落ちた…」そんな経験はありませんか?会社の経費精算を楽にするため、年会費無料の法人ETCカードを探し始めたものの、設立間もないというだけで、信用の壁は想像以上に厚いものです。私自身、独立したての頃はそうでした。ETCコーポレートカードの年会費や、次から次へと出てくる手数料、そしてカードの発行手数料といった言葉の数々に、頭を抱えた夜は一度や二度ではありません。しかし、そんな八方塞がりの状況でも、道は必ずあります。この記事は、過去の私と同じように途方に暮れているあなたのために、私の実体験のすべてを注ぎ込んで執筆しました。

📖この記事で分かること
  • 審査に落ちた私の実体験から、あなたが今抱える不安の正体がわかります。
  • あなたの会社の状況に合わせた、年会費無料の法人ETCカードの「2つの選択肢」が明確になります。
  • カード選びで失敗しないための「3つの判断基準」が手に入ります。
  • 審査なしカードのメリットだけでなく、語られにくい「本当の注意点」まで理解できます。
目次

【実録】法人ETCカード年会費無料で作りたい!審査落ちの体験談

【実録】法人ETCカード年会費無料で作りたい!審査落ちの体験談

審査落ちの悔しさ、痛いほどわかります

審査落ちの悔しさ、痛いほどわかります

今でもはっきりと、あの時のPC画面の白さと、無機質な黒い文字の冷たさを覚えています。5年前、40代で長年の夢だったネットショップ事業を立ち上げたばかりの頃のことです。事業計画は完璧、この情熱とアイデアがあれば何とかなる。本気でそう信じていました。しかし、すぐにぶつかったのが、目には見えないのに分厚い「信用の壁」でした。

商品の仕入れやお客様への発送で、車での移動は文字通り事業の生命線。当然、経費管理を明確にするために法人ETCカードを作ろうと、意気揚々と申し込みました。ところが、設立1年未満の個人事業主という、たったそれだけの理由で、どのカード会社からも面白いように断られてしまったのです。

当時はただ、「なぜだ!?」という悔しさと理不尽さしか感じられませんでした。ですが、少し時間が経って冷静に考えてみると、彼ら金融機関の立場も理解できるのです。これは決して、あなたの情熱や事業の将来性を否定しているわけではありません。彼らは、膨大なデータに基づいた「リスク」を判断しているに過ぎないのです。

ご存知ですか?企業の生存率という現実

例えば、中小企業庁が発表しているデータによると、新しく設立された会社が5年後も事業を継続できている確率は、決して高いとは言えないという現実があります。(参照:中小企業白書)カード会社から見れば、設立間もない会社は「まだ実績で信頼を証明できていない相手」なのです。悔しいですが、これがビジネスの構造的な現実なんですね。

もちろん、そんな構造論を理解したところで、目の前の現実は変わりません。PCの画面に表示される「ご期待に沿いかねる結果となりました」という非情な文字列。申し込みフォームを一つひとつ埋めるのにかけた時間、慣れない手つきでスキャンして準備した添付書類、そして審査結果を待つ間の、あのわずかな希望。それらが、無機質なメール一本で、いとも簡単に打ち砕かれるのです。

まぁ、正直なところ、悔しいという感情よりも先に、情けなさがこみ上げてきましたね。「カード一枚すら作れないのか…」と、自分の無力さを突きつけられた気がしました。

そこから始まったのが、個人のクレジットカードで高速代やガソリン代をずるずると立て替える日々です。コンビニで買ったコーヒーのレシートと、高速道路の利用明細が同じ財布から出てくる。プライベートの支出と事業の経費が靴箱に入れたレシートの束の中でごちゃ混ぜになり、経理はめちゃくちゃ。キャッシュフローの管理もままならず、「たかがカード一枚、されどカード一枚」。この一枚がないだけで、事業の歯車はこんなにも狂うものかと、何度も心が折れそうになりました。もし、あなたが今、同じような気持ちでこの文章を読んでいるのなら、まず一番に伝えたい。その悔しさ、本当に痛いほどわかります、と。

筆者

当時は本当に焦りました。税理士さんからは「経費はちゃんと分けなさい!」と何度も釘を刺されるのに、そのための肝心な道具が手に入らないわけですから。この八方塞がりだった悔しい経験こそが、私がこのサイトを立ち上げた、すべての原点なんです。

結論|あなたの状況で選ぶべきカードは2択

結論|あなたの状況で選ぶべきカードは2択

さて、私の少しばかり苦い昔話はこのくらいにして、いよいよ本題に入りましょう。過去の私のように、審査という分厚い壁の前で立ち尽くしているあなたに、まずこの記事の核心となる結論からお伝えします。年会費無料で、事業用のETCカードを手に入れる方法は、泥沼の中でもがいた末に私が見つけ出した限り、大きく分けて2つのルートしか存在しません。

いきなり二つの道を示されても、「結局、どっちが良いんだ?」と迷ってしまうのは当然です。大丈夫です、焦る必要はありません。なぜなら、この2つのルートは、どちらが優れているという話ではなく、あなたの会社の「今の状況」によって、進むべき道がほぼ自動的に決まるからです。

あなたのための年会費無料ETCカード、ルートはこの2つ!

  • 【ルートA】法人クレジットカード付帯ETCカード
    これは、事業が軌道に乗り始め「設立から2~3年以上が経過し、黒字決算も経験した」という経営者の方や、「コスト削減と同時に、経費管理の効率化も実現したい」と考える総務担当者の方が、真正面から狙うべき王道ルートです。ポイント還元や付帯サービスといった恩恵を受けられる可能性があります。
  • 【ルートB】協同組合発行の法人ETCカード
    そしてこちらが、「設立間もなくて、クレジットカードの審査に苦労している」個人事業主の方や、「今はとにかく、事業に必要なETCカードを確実に手に入れたい」と考える創業期の経営者のための、いわば駆け込み寺的なルートです。私自身が救われたのも、このルートでした。

なぜ、このように道がはっきりと分かれるのか。それは、前述した通り、クレジットカード会社が「過去の実績」を極めて重視するからです。彼らはボランティアではありませんから、貸し倒れのリスクを避けるため、どうしても審査の基準は厳しくなります。実際、公的なデータを見ても、多くの新しい事業が最初の数年で厳しい淘汰の現実に直面することが示されており、これが審査の壁の高さに直結しているのです。

しかし、絶望する必要は全くありません。重要なのは、今のあなたの会社の状況、もう少し生々しい言い方をすれば「社会的信用度」を自分自身で客観的に見つめ、どちらのルートが最適かを見極めることなのです。ここから、その具体的な見極め方について、一つひとつ丁寧に、私の経験を交えながら解説していきますので、どうぞ安心してください。

あなたはどっち?3つの判断基準を先に解説

あなたはどっち?3つの判断基準を先に解説

さて、目の前には2つのルートが見えてきました。ですが、ここで闇雲に「なんとなく良さそうだから」と申し込んで審査に落ち、あの魂が削られるような徒労感を味わう愚は、もう繰り返してはいけません。本格的な比較検討に入る前に、一度立ち止まって、あなた自身の状況を客観的に見つめる時間を作りましょう。そのために、私がいつもお伝えしている3つの判断基準があります。この3つのシンプルな質問に、あなた自身が正直に答えてみてください。この自己分析こそが、失敗しないカード選びへの、唯一にして最短のルートとなります。

判断基準①:会社の設立年数と事業歴

まず、これが最も重要かつ、ある意味では残酷なまでに明確な判断基準です。あなたの会社は、設立してから何年経っていますか?そして、確定申告は何回終えましたか?なぜこれが重要かと言うと、クレジットカード会社のような金融機関が最も恐れるのは、「貸し倒れのリスク」だからです。彼らのビジネスモデルからすれば当然のことですね。

彼らにとって、設立したての会社というのは、事業が安定しているかどうかの判断材料、つまり「過去の成績表」が乏しく、「得体の知れない存在」に映ります。たとえあなたの事業にどれだけの将来性があっても、彼らはデータで判断します。そのため、多くのカード会社が「設立から最低2~3年以上、そして2期以上の黒字決算」を審査のスタートラインにしている、と言われているのです。

カード会社が見ている「統計データ」という現実

これは、あなたの事業への評価というより、統計に基づいたリスク管理の結果です。前述の通り、公的なデータでも、新設法人が5年、10年と事業を継続していくことの難しさが示されています。カード会社の審査システムは、このマクロなデータを基準に作られているため、個別の情熱や事業計画だけでは、なかなかその壁を越えられないのです。悔しいですが、これが金融の現実とも言えます。

もちろん、これは絶対的なルールではありません。しかし、もしあなたの会社が設立3年未満であったり、まだ決算を一度も終えていない段階であれば、後述する「協同組合」のルートが、極めて現実的な選択肢になってくる感じがしますね。

判断基準②:カードの発行スピード

「急な遠方の仕事が決まった!来週の出張までに、どうしてもETCカードが必要なんだ!」…なんて、ビジネスには予期せぬチャンスやピンチがつきものです。この、カードが必要になるまでの時間的な猶予、つまり緊急性の高さも、重要な判断基準となります。

例えば、現場仕事がメインの事業主の方なら、急な応援要請で県外へ向かうこともあるでしょう。その時にETCカードがなければ、現金での支払いや経費精算の手間が増え、機会損失に繋がりかねません。また、リーンな経営を志すスタートアップの創業者にとって、時間は最も貴重な資源です。インフラ整備に1ヶ月も待たされるのは、事業の成長スピードを鈍化させる「悪」とさえ言えるかもしれません。

クレジットカード会社の法人カードは、その厳格な審査プロセスゆえに、申し込みから手元に届くまで一般的に3週間~1ヶ月以上かかることも珍しくありません。一方で、協同組合のカードは、クレジット審査を省略している分、手続きが非常にスピーディー。書類のやり取りがスムーズに進めば、最短数日~1週間程度で発行される場合があります。「時は金なり」を地で行くビジネスの世界では、このスピードの差が、時に事業の明暗を分けることすらあるのです。

判断基準③:従業員へのカード貸与の有無

3つ目の基準は、未来を見据えた質問です。このカードは、あなた一人で使うものでしょうか?それとも、これから増えるかもしれない従業員にも持たせる予定がありますか?この「事業の拡張性(スケーラビリティ)」も、見過ごせない大きなポイントです。

例えば、あなたが今まさに成長を目指すスタートアップの経営者なら、「1年後には営業担当を3人採用する」といった計画があるかもしれません。その時、新たに従業員が増えるたびに、また面倒な審査や手続きを繰り返すのは非効率ですよね。事業の成長に合わせて、必要な枚数のカードを迅速かつ簡単に追加発行できる体制は、バックオフィス業務を効率化し、経営者が本来集中すべき業務に専念するために不可欠です。

また、すでに複数の営業車を抱える企業の総務担当者の方にとっても、これは重要です。クレジットカードの場合、社員用の追加カードの発行枚数に上限が設けられていたり、枚数に応じて年会費とは別の発行手数料が追加で発生したりすることがあります。一方で、多くの協同組合カードは、事業規模に応じて必要な枚数を柔軟に発行できるケースが多いです。将来的な管理コストや手間まで見越して、どちらのルートが自社に適しているかを判断する必要があります。

筆者

私の場合はどうだったか。まず①設立年数が致命的なネックでした。そして、日々の業務に追われる中で②のスピードも喉から手が出るほど求めていた。③については当時は一人でしたが、いつか事業を大きくしたいという夢はありました。この3つの基準に自分の状況を当てはめてみると、私が進むべき道は、もうハッキリと一つしか残っていなかったんです。あなたはいかがですか?少しずつ、進むべき道が見えてきたのではないでしょうか。本格的な比較検討に入る前に、まずはこの3つの質問に、あなた自身で、正直に答えてみてください。この自己分析こそが、失敗しないカード選びへの最短ルートとなります。

テンチョーが語る「審査なし」カードの本当の注意点

テンチョーが語る「審査なし」カードの本当の注意点

さて、ここまで読んで、「なんだ、設立したばかりの自分は、協同組合のカード一択じゃないか」と、暗闇の中に一筋の光が差し込んできたような気持ちになっているかもしれません。実際、多くの場面でその通りなのですが、ここで少しだけ、立ち止まってほしいのです。どんな物事にも、必ず光と影がありますからね。私が、あなたに「審査なし」という甘美な言葉の響きだけで安易に飛びついて、後から「こんなはずじゃなかった…」と後悔してほしくないからこそ、知っておいてほしい「本当の注意点」が2つあります。これは、他の多くの比較サイトがあまり積極的に、そして深くは語りたがらない部分かもしれません。

注意点1:必ず「出資金(デポジット)」という初期費用がかかる

協同組合のカードを作るには、まずその組合の「組合員」になる必要があります。そして、その加入の際に「出資金」として、一律で1万円を預けるのが一般的なルールです。これはあくまで組合への預け金、いわば保証金のようなもので、将来あなたが組合を脱退する際には、理由を問わず全額が返金されます。とはいえ、これは無視できないポイントです。

例えば、日々の資金繰りに奔走している駆け出しの個人事業主の方にとって、運転資金から1万円が一時的にでも出ていくのは、かなり大きな負担に感じられるでしょう。私自身も、当時は仕入れ代金の支払いに回したいと本気で悩みました。一方で、会社の固定費を1円単位で管理したいスタートアップの経営者にとっては、金額の大小ではなく、返ってくるとはいえ資金がロックされてしまうこと自体が、合理性に欠けると感じるかもしれません。「完全にコストゼロで始められるわけではない」という点は、最初にしっかりと理解しておく必要があります。

注意点2:高速道路の利用料金に「事務手数料」が上乗せされる

これが一番、見落としがちで、後からコスト構造を揺るがしかねない重要なポイントです。協同組合のETCカードは、カード自体の年会費は無料ですが、毎月の高速道路利用料金の合計に対して、5%~8%程度の事務手数料が上乗せされて請求されるケースがほとんどです。これは、組合があなたの代わりに高速道路料金を立て替え、請求を一本化するための手数料、という位置づけですね。

この手数料が、あなたの事業にとって「許容範囲のコスト」なのか、それとも「無視できない負担」なのかは、高速道路の利用頻度によって全く意味合いが変わってきます。

例えば、月に数回しか高速を使わず、利用料金が合計で2万円程度の事業主の方。この場合、8%の手数料は1,600円です。審査に落ち続ける時間的・精神的コストや、経費精算の煩雑さを考えれば、「月1,600円でそのすべてが解決するなら安いものだ」と判断できるでしょう。これは、まさに過去の私のようなケースです。

しかし、もしあなたの事業が軌道に乗り、高速道路の利用額が月20万円、30万円と非常に多くなってきた場合、この事務手数料は月額1万6,000円~2万4,000円という、決して無視できない金額に膨れ上がります。そうなった時、年会費を払ってでもクレジットカード付帯のETCカードに切り替えた方が、トータルコストは安くなる「損益分岐点」が必ずやってくるのです。

【重要】組合カードと年会費ありカードの「損益分岐点」

仮に、年会費が5,500円(税込)の一般的な法人クレジットカード(事務手数料なし)と、組合カード(事務手数料8%)を比較してみましょう。コストが逆転するのはいつでしょうか。

計算式はシンプルです。
年会費 ÷ 事務手数料率 = 年間の損益分岐点となる高速利用料金

これに当てはめると…
5,500円 ÷ 0.08 = 68,750円(年間)

つまり、年間の高速道路利用料金が68,750円(月平均で約5,730円)を超えた時点で、年会費を払うカードの方がトータルコストは安くなる計算になります。これは、多くの事業にとって、あっという間に超えてしまう金額ではないでしょうか。この数字は、将来のカード切り替えを検討する際の、非常に重要な指標となります。

もちろん、これらの注意点をすべて理解した上で、それでもなお、「審査がなく、すぐに事業に必要なインフラが手に入る」という創業期におけるメリットは、何物にも代えがたい、計り知れない価値があると私は今でも断言できます。大切なのは、良い面も、そして少し不都合な面も、その構造をすべて知った上で、あなた自身が「今の自分にとっての最適解はこれだ」と納得して選択することに他なりません。

年会費無料の法人ETCカード|状況別ルートで徹底比較

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【ルートA】個人事業主OKのクレカ付帯ETC

【ルートA】個人事業主OKのクレカ付帯ETC

さて、ここからは、あなたが選ぶべき2つのルートを、より具体的に、深く掘り下げていきましょう。まずは「ルートA」、クレジットカード付帯のETCカードです。

今、この記事を読んでくださっているあなたの多くは、審査という壁に何度も跳ね返された経験を持つ方だと思います。だからこそ、「どうせ自分には関係ない話だ」と、このセクションを読み飛ばしたくなる気持ちがあるかもしれません。ですが、少しだけお付き合いください。なぜなら、この「王道」とも言えるルートを知ることこそが、なぜ「ルートB」が設立間もない事業者にとって唯一無二の価値を持つのかを深く理解する鍵であり、さらにはあなたの事業が成長した先の「未来の目標」にもなるからです。

正直に告白しますと、独立当初の私も、このルートAのカードが持つ魅力に心を奪われていました。最大のメリットは、やはりポイント還元や各種付帯サービスでしょう。高速道路の利用額に応じてクレジットカードのポイントが貯まり、経費を使いながら実質的なリターンを得られる。出張の際には空港ラウンジで一息つける。そういった姿は、事業が軌道に乗った「成功者の証」のように感じられたものです。言ってしまえば、事業を続けてきたことで社会から得られた「信用」を、具体的なメリットとして享受できるのが、このルートの醍醐味なのです。

多くの事業者が直面する「必要書類の壁」

では、なぜ多くの設立間もない事業者がこのルートで挫折するのか。その理由は、申し込みの際に求められる書類に端的に表れています。一般的な法人クレジットカードの申し込みでは、以下のような書類の提出を求められることが少なくありません。

  • 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 過去2~3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 代表者の本人確認書類

設立1年未満で、まだ一度も決算を終えていない会社にとっては、この「決算書」が物理的に提出不可能なのです。これが、情熱だけでは越えられない、構造的な壁の正体です。

もちろん、近年ではそんな中でも、私たちのような創業者を応援してくれるカードも増えてきました。代表的なものでは「三井住友カード ビジネスオーナーズ」や「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」などが挙げられます。これらは年会費が永年無料で、申し込みの際に決算書が不要な場合もあり、個人事業主でも申し込みやすいのが特徴です。しかし、「不要=審査がない」では決してありません。もしあなたの事業歴が2年以上あり、少し自信があるなら、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。しかし、設立1年未満の段階では、やはり厳しい戦いになることを覚悟しておくべきです。

豆知識:法人カードの審査は「会社」と「代表者個人」の合わせ技

この審査の複雑なところは、会社の状況だけでなく、代表者であるあなた個人の信用情報(いわゆるクレヒス)も大きく影響する点です。これは私も痛感した点ですが、会社の事業計画は完璧だと思っていても、もし代表者個人のクレジットカードで過去に支払遅延などがあれば、審査は途端に厳しくなります。逆に言えば、会社がまだ赤字でも、代表者の信用が非常に高ければ可能性はゼロではない。まさに、会社と個人、二人三脚での審査なのです。

ですから、もし今あなたがこのルートAの審査に通らなかったとしても、それはあなたの事業やあなた自身が否定されたわけでは決してありません。ただ単に、「タイミングが今ではなかった」というだけのこと。今はまず、事業を確実に前進させるための道具を手に入れることが最優先です。そして、事業が成長し、数年後にこのルートAのカードを手にした時、それはあなたの努力の確かな証となるでしょう。このルートAは、今日の選択肢ではなく、未来の目標として、心の片隅に置いておいてください。

【ルートB】設立1年目でも作れる組合カード

【ルートB】設立1年目でも作れる組合カード

そして、こちらが設立1年未満の会社や、過去に何度も、何度も審査落ちを経験した方にとっての、文字通りの「駆け込み寺」となる「ルートB」、協同組合が発行するカードです。何を隠そう、5年前に絶望の淵にいた私をすくい上げてくれたのも、このルートでした。

このルートの唯一無二にして最大のメリットは、「クレジットカード会社による与信審査がない」という、ただ一点に尽きます。もちろん、組合独自の形式的な審査はありますが、基本的には赤字決算であるとか、税金の未納があるといった、社会的な信用に関わるよほどのことがない限り、設立間もないという理由だけで門前払いされることは、まずありません。これは、組合があなたから預かった出資金などを元に、組合全体で信用を担保する仕組みだからこそ実現できるのです。

私がこのカードを初めて手にした時の、あの体の力が抜け、肩の荷がストンと降りるような安堵感は、今でも忘れられません。それまで経費の立替でパンク寸前だった頭の中が、すーっと整理されていくような感覚でした。ポイント還元も、空港ラウンジも、豪華な付帯サービスもありません。しかし、事業を前に進めるために「今、この瞬間に」必要な道具が、社会的信用の有無にかかわらず、確実に手に入る。この絶大な安心感こそが、組合カードが持つ本質的な価値だと、私は心の底から考えています。

ただし、この「シンプルさ」と「確実性」は、ある種のトレードオフも内包しています。この点は、特に会社の規模や、あなたが事業に求めるものによって、メリットにもデメリットにもなり得るので、正直にお話ししておきます。

組合カードの価値は、あなたの立ち位置で変わる

  • 駆け出しの個人事業主・創業者にとっての価値
    「とにかく、今すぐ事業用のカードが手に入ること」が最優先課題です。経費精算の効率化という、事業の土台を固めることが何よりも重要。高度な機能よりも、確実な入手の安心感が勝ります。
  • ITツールを駆使するスタートアップ経営者の視点
    一方で、例えば経費精算をSaaSで自動化したい、会計ソフトとAPIで連携させたい、といった高度なニーズには応えられない場合があります。組合カードはあくまで「決済」という機能に特化しており、デジタルな拡張性は低いと考えるべきでしょう。
  • 複数車両を管理する総務担当者の視点
    複数枚のカード発行は可能ですが、利用明細の管理画面などは、大手法人クレジットカードが提供するシステムに比べると、機能が限定的な場合があります。「どのカードが、いつ、どこで使われたか」は把握できますが、例えば部署ごとの利用上限設定や、データ分析といった高度な管理機能は期待できません。

このように、組合カードは最新の機能を追い求める方や、大企業の厳格な管理体制を求める方にとっては、少し物足りなく感じるかもしれません。しかし、繰り返しますが、創業期において、これらの点は些細な問題です。なぜなら、そもそも比較対象となるカードを持つことすらできない、という根本的な問題を解決してくれる唯一の選択肢なのですから。まずはこのカードで事業の土台を固め、会社が成長した先に、改めてルートAのような高機能なカードを目指す。このステップアップこそが、最も現実的で賢明な戦略だと、私は確信しています。

▼私を救ってくれた「審査なし」カードの公式サイトはこちら▼

私が検討し、今も多くの創業者を支えている代表的な組合は以下の2つです。まずは公式サイトを覗いて、どんな組合なのか、その雰囲気を確かめてみてください。

高速情報協同組合の公式サイト(セディナ)はこちら

高速情報協同組合の公式サイト(UC)はこちら

>>詳細なレビュー記事はこちら

ETC協同組合の公式サイトはこちら

>>詳細なレビュー記事はこちら

2大組合を7項目で比較!結局どっちを選ぶ?

2大組合を7項目で比較!結局どっちを選ぶ?

さて、「ルートB」を選ぶと心に決めたものの、今度は「じゃあ、具体的にどこの組合がいいんだ?」という新たな、そして最後の一番大きな疑問が湧いてきますよね。大丈夫です、それもかつての私が通った道。ここでは、この業界で特に代表的な存在である「ETC協同組合」と「高速情報協同組合」、この2つの組合を、あなたが本当に知りたいであろう7つの具体的な項目で、徹底的に比較・分析していきます。

まぁ、正直なところ、この2つの組合は提供しているサービスの根幹部分が非常によく似ています。どちらも設立間もない事業者の「駆け込み寺」として、長年の実績がありますからね。だからこそ、些細な違いが、あなたの会社の状況によっては大きな決め手になることもあるのです。私自身が両方の資料を穴が開くほど見比べて悩んだ経験から、本当に重要なポイントだけを抽出し、客観的なデータと、私の主観的な視点の両方から切り込んでいきます。

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比較項目ETC協同組合高速情報協同組合駆け込みテンチョーの視点
① ETCカード発行手数料880円 / 枚 (税込)550円 / 枚 (税込)まず最初に目につくコストですね。一枚あたりの差はわずか330円ですが、例えば従業員5人分のカードを一度に発行するとなると、その差は1,650円に。ちりも積もれば、です。初期費用を1円でも安く抑えたいと考えるなら、高速情報協同組合に軍配が上がります。
② ETCカード年間手数料880円 / 枚 (税込)550円 / 枚 (税込)カードを維持するためのランニングコストです。これも発行手数料と同様に、高速情報協同組合の方が安価。複数枚のカードを長期間利用することを想定すると、この差は年々積み重なっていきます。
③ 申し込みのしやすさ◎ WEBで完結可能◎ WEBで完結可能これは互角です。どちらの組合も公式サイトからオンラインで申し込み手続きを始めることができ、忙しい事業の合間を縫って、事務所のPCからでも、スマホからでも手続きを進められるのは非常にありがたい点です。
④ 発行までの日数最短で書類到着の翌営業日に発送最短で書類到着の翌営業日に発送スピード感も引き分けですね。「来週からの現場でどうしても必要」といった緊急事態にも対応できるこの迅速さは、両組合に共通する大きな強みと言えるでしょう。
⑤ 高速利用料への事務手数料利用料金の8%利用料金の8%前述の通り、組合カードの注意点となる事務手数料ですが、この料率も両組合で違いはありません。コスト構造の根幹は同じだと考えてよいでしょう。
⑥ ETCカードのブランドUCカードセディナカード / UCカードここで少し違いが出ます。高速情報協同組合は2つのカードブランドから選べますが、実際のところ、ETCゲートを通過する上での機能的な差は全くありません。ここは特に気にする必要はない、というのが私の見解です。
⑦ ガソリンカードの取り扱い〇 (出光・昭和シェル系)〇 (出光・昭和シェル系)ETCカードと合わせて、経費精算の要となるガソリンカード。これについても、両組合とも全国の「アポロステーション(出光・シェル)」で利用できる、クレジット審査なしのカードを扱っています。もしETCとガソリン、両方のカードを揃えたいと考えているなら、どちらの組合を選んでも対応可能です。

さて、この表はあくまで客観的なスペック比較です。ですが、あなたが選ぶのは単なる「カード」ではなく、これから事業を共にする「パートナー」とも言えます。そう考えると、スペック表には現れない、非金銭的な価値基準も同じくらい重要になってきます。

表にはない2つの重要チェックポイント

1.困った時のサポート体制
例えばカードを紛失した時、請求内容に疑問があった時。そんな「いざという時」に、迅速で丁寧な対応をしてもらえるかは極めて重要です。両組合とも電話やメールでのサポート窓口を設けていますが、その対応の質は、会社の文化を映す鏡でもあります。

2.組合としての付加価値
忘れてはいけないのが、あなたは単にカードを利用するだけでなく、「事業協同組合」の組合員になる、という点です。組合によっては、ETCカード事業以外にも、共同購買事業(ガソリンや事務用品を安く購入できるなど)や、経営支援サービス、異業種交流の機会などを提供している場合があります。すぐに利用しなくとも、将来的にあなたの事業の助けになるかもしれません。

では、これらの目に見えない価値を、どうやって判断すればいいのか。最終的には、あなた自身の「感覚」を信じるのが一番です。その「感覚」を確かめるために、ぜひ次のアクションを試してみてください。

納得して決めるための「最終チェックリスト」

  • 公式サイトをじっくり見比べてみる:情報の探しやすさ、デザインの分かりやすさなど、あなたが「ストレスなく使える」と感じるのはどちらですか?
  • 小さな疑問を、実際に電話で問い合わせてみる:例えば、「個人事業主として開業したばかりで、まだ確定申告書がないのですが…」といった質問を投げかけてみましょう。その時の電話口の担当者の対応の丁寧さ、説明の分かりやすさは、その組合の顧客に対する姿勢を何よりも雄弁に物語ります。

これは、どちらが良い悪いという話ではありません。あなたにとって「気持ちよく付き合える」パートナーを見つけるための、大切なプロセスなのです。

筆者

【結論】論理と感覚、両方で決めるのがベスト!
こうして冷静に数字だけを並べると、ETCカードの各種手数料が安い「高速情報協同組合」の方が、少しだけ合理的な選択に見えます。もしあなたが、1円単位のコストまで徹底的に比較検討するタイプの経営者であれば、まずはこちらを検討するのが良いでしょう。
高速情報協同組合の公式サイト(セディナ)はこちら
高速情報協同組合の公式サイト(UC)はこちら
ただ、その数百円の差は、気持ちのいいサポート対応一つで、簡単に元が取れてしまうと私は思います。最終的には、公式サイトの雰囲気や問い合わせの対応も含め、「なんとなく、こちらの組合の方が信頼できそうだ」と感じた、その直感を信じるのが一番です。長く付き合っていくパートナー選びですからね。
ETC協同組合の公式サイトはこちら

申し込みに必要な書類と発行までの最短日数

申し込みに必要な書類と発行までの最短日数

さて、あなたの進むべき道が決まったら、残すは最後の一歩、「申し込み」です。「よし、組合カードに申し込んでみよう!」とあなたの心が決まったものの、「でも、手続きが面倒なんじゃないか…?」という最後の不安が、その一歩をためらわせているかもしれませんね。分かります。私も最初はそうでした。

ですが、大丈夫。ここは、私が実際に申し込みをした際に、つまずいた点や遠回りした経験もすべてお話しします。あなたが私と同じ失敗を繰り返さないように、具体的な手続きの流れと、事前に準備しておくべき書類について、ここで完璧にガイドします。特に、必要書類をあらかじめ手元に揃えておくだけで、カード発行までの時間をぐっと、数日間は短縮できますからね。これは、私からのささやかな「プロのコツ」です。

【4ステップで完了】組合カード申し込みの全体像

【STEP1】WEBフォームから申し込み情報を送信
まずは、あなたが選んだ組合の公式サイトにある申し込みフォームに、会社の基本情報や代表者情報などを入力し、送信します。この段階ではまだ仮申し込みのようなものですね。【コツ】会社の住所や電話番号など、基本的な情報を手元に用意しておけば5分程度で完了します。

【STEP2】申込書類一式の受領と、準備した書類を添えて返送
後日、組合から正式な申込書類一式が郵送されてきます。必要事項を記入・捺印し、下記で説明する「準備しておくべき必要書類」のコピーを同封して返送します。【私の失敗談】私は当時、焦っていたせいで捺印を1箇所押し忘れてしまい、書類の再送付で3日もロスしました…。返送前には、必ず指差し確認を!

【STEP3】指定口座へ出資金(1万円)を振り込む
申込書類に同封されている案内に従い、組合から指定された銀行口座へ、出資金の1万円を振り込みます。【コツ】個人事業主の方は、振込名義人を「屋号+氏名」にするのを忘れずに。個人名だけで振り込むと、入金確認に時間がかかる場合があります。

【STEP4】カードの到着を待つ!
組合側で、返送された書類の内容と、出資金の入金が確認され次第、カードの発送手配が開始されます。最短で、組合に書類が到着した翌営業日には発送される、というスピーディーさです。ポストに組合からの封筒を見つけた時の安堵感は、きっとあなたの頑張りを労ってくれますよ。

【テンチョーの失敗から学ぶ!必要書類・完全準備マニュアル】

申し込みをスムーズに進めるための鍵は、この書類準備にあります。公式サイトに書いてあること以上に、私がつまずいたポイントを重点的に解説します。

▼法人の場合

  • 履歴事項全部証明書(発行6ヶ月以内)のコピー
    【プロのコツ】法務局の窓口で取得すると600円、オンライン請求なら480円~500円程度で取得できます。取得に数日かかる場合があるので、申し込むと決めたら真っ先に取得しにいきましょう。
  • 代表者の運転免許証など、本人確認書類のコピー
    【注意点】意外と見落としがちなのが有効期限。送る前にもう一度、期限が切れていないか確認してください。
  • 車検証のコピー(ETCカード申込時)
    【豆知識】車検証の名義は、必ずしも法人名義である必要はありません。代表者個人の車両を事業で使っている場合でも、問題なく申し込めます。

▼個人事業主の場合

  • 前年度の確定申告書(税務署の受付印があるもの)のコピー
    →これについては、下の注意点で詳しく解説します。
  • 代表者の運転免許証など、本人確認書類のコピー
  • 車検証のコピー

【創業期の最大の壁】確定申告書がまだない、あなたへ

「開業したばかりで、まだ確定申告なんてしていない…」と、ここで手が止まってしまった方も多いのではないでしょうか。ご安心ください。組合側も、創業期の事業者がこの書類を用意できないことは百も承知です。

その場合、税務署に提出した「開業届」の控えのコピーが、確定申告書の代わりとして認められるケースがほとんどです。もし手元にない場合は、取引先との契約書や発注書、請求書など、実際に事業を行っていることが客観的にわかる書類で代用できないか、事前に組合へ一本電話を入れて相談してみることを強くお勧めします。ここで諦めてしまうのは、本当にもったいないですよ。

お疲れ様でした!これで準備は万端です

ここまで読み進めてくださったあなたは、もうカードが作れないと悩む必要はありません。必要な知識も、具体的なアクションも、すべて手に入れました。

5年前に八方塞がりだった私が喉から手が出るほど欲しかった「審査なし」という選択肢が、今、あなたの目の前にあります。この一枚が、あなたの事業をどれだけ楽にしてくれるか。

もう、これ以上悩む時間はもったいない。
今すぐ、その一歩を踏み出しましょう!

まとめ|カード一枚で、あなたの事業はもっと加速する

まとめ|カード一枚で、あなたの事業はもっと加速する
まとめ
  • 法人ETCカードには大きく分けてクレジットカード付帯と協同組合発行の2種類がある
  • 会社の設立年数や事業歴が3年未満の場合クレジットカードの審査は厳しい傾向にある
  • カード発行を急ぐなら最短数日で発行可能な協同組合カードが有利
  • 従業員に複数枚貸与するなら組合カードの方が柔軟な場合が多い
  • 審査なしの組合カードには出資金1万円と利用料金への事務手数料が必要となる
  • 出資金は組合を脱退する際に全額返金される
  • 事務手数料は毎月の利用額の5%から8%程度が相場
  • ルートAは事業歴が長く信用力のある会社向けの選択肢
  • クレジットカード付帯ETCカードはポイント還元や付帯サービスが魅力
  • ルートBは設立1年目や審査に不安がある会社向けの駆け込み寺的な選択肢
  • 組合カードの最大のメリットはクレジット審査がないこと
  • 代表的な組合としてETC協同組合と高速情報協同組合がある
  • 各種手数料を比較すると高速情報協同組合の方がわずかにコストが安い
  • 申し込みには履歴事項全部証明書や確定申告書本人確認書類などが必要
  • たかがカード一枚しかしその一枚が事業のキャッシュフローと経理を劇的に改善する
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